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今日から2学期の第四高校①

 バサッ バサッ 「夢にまで見た下駄箱ラブレターきたーーーー!」  2学期初日、朝練が終わり昇降口で智裕が靴箱を開けた途端、結構な数の封筒が落ちてきた。  歓喜の声をあげると、一緒にいた野村、増田、川瀬(かわせ)香山(こうやま)が覗き込む。 「すごいね。俺初めて見たかも。」 「うえー、すげー量だな。」 「いーなースタメン様はー。」  みんなが呆れていると、反対側の2年1組の靴箱からもバサバサと紙の落ちる音がした。 「……はぁ。」  深くため息をついたのは疲れ果てた清田だった。 「なんなんだよこれ…。」 「何だよ清田もかよ。」 「松田や赤松なら理解出来るんだが、何で俺まで。」  呆れたように言うと、その声を聞いていた増田が答えた。 「仲間のために負傷してまでスライディングした姿が取り上げられているみたいだよ。ほら。」  増田が手にしていたのは「別冊 ene(エヌ)」という女性向け野球雑誌の特装版だった。 「異例の重版だってこの雑誌。昨日やっと届いたんだよね。」 「へー…あとで読んでもいい?」 「いいよー。」  野村はその雑誌に興味を示した。清田はそれを見るなり「うえぇ」と顔を青くした。

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