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今日から2学期の第四高校②

 バサバサッ  少し離れた場所から同様に紙が雪崩れる音、そして男子たちの「うおおお」という声が聞こえた。  智裕たちは靴を履き替えて、声のする方へ向かった。 「のわあぁぁぉぉ!」 「これはこれは……。」 「やばい…元々イケメンはレベル違ぇ…。」 「浮かれた自分が恥ずかしい…。」 「すごいわね……初めて見たわ…。」  音源は直倫の靴箱から智裕の何倍にもなる封筒や便箋の落ちるものだった。  勿論直倫はため息をついた。それすら1年の野球部員たちでさえ惚れてしまいそうなほど美しい顔だった。 「アイツ…やっぱ大竹なんかより良い奴と付き合えるよ。」 「眼科行けばいいのにな…。」 「そこだけ残念だよね赤松くん。」 「紳士後輩×ツンデレ先輩…まぁありっちゃアリ。」  2年生たちに気がついた1年生は「お疲れ様です」と挨拶をする。 「赤松ー、お前スッゲーな…。」 「はぁ…でも裕也さん以外にモテても意味無いですよ。」 「そこは喜べよ赤松、嫌味にしか聞こえねーぞ。」  1通も貰ってない川瀬は落ちたラブレターを拾いながら冷たく言い放つ。 「松田先輩、俺も次の秋季大会でレギュラー入りしたらモテモテになれますか?」  智裕の隣に来て羨ましそうに直倫を見つめていた、175cmと野球部の中では少し細身な体格の1年、弥栄(やさか)仁司(ヒトシ)が質問する。 「さぁな…赤松のおこぼれ程度にはモテるんじゃね?」 「マジっすか!俺絶対ベンチ入りします!」 「おうおう、まず清田の構えるところにしっかり投げれるようになれよ。」  智裕は弥栄の癖っ毛をグシャグシャと撫でた。

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