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今日から2学期の第四高校④
石のように固まった智裕をたまたま隣にいた一起 (イケメン)が支えて慰めた。
「江川っちーーーー!」
「しょうがねーよ、顔は。」
「チキショー!世の中のイケメン滅びろぉぉぉぉぉぉ!」
一起に抱きついた智裕は赤子のようにあやされた。
「しっかし、大竹よ。これ大丈夫か?」
「あ?何が?」
「顔だけ系のランキング、お前の彼氏ほぼランクインしてるぞ。初戦敗退の高校でこれはやべーって。」
男子たちが指摘する通り、先ほどの「付き合いたい」をはじめとする「顔が良い」「芸能界でやっていける」等のランキングで兄との相乗効果なのか直倫はトップ5にほぼ入っていた。
「秋季大会で注目する選手ランキング、あ、良かったじゃん、智裕入ってるよ。」
「マジで⁉︎」
高梨に言われて雑誌を覗き込むが、智裕は2位だった。
その上に1位で載っていたのは「第四高校・赤松直倫(1年)」の文字。
「やっぱ世の中顔かよぉぉぉぉぉぉ!」
智裕は床に伏して絶望した。
裕也はそのページを見ても、何の感情もわかなかった。どこかでこうなることを覚悟出来ていたのかもしれない。
「赤松くん、ラブレターの量凄かったよねー。今時かなり古典的だけど。」
今朝見た光景を野村が伝えると、男子たちは驚愕し羨望する。
そこでやっと裕也の胸に何かが刺さった。
(まぁ…普通、だよな…。)
横目で裕也を見ていた一起はその裕也の心境の変化に気が付いたが、気付かぬフリをして「はぁ」とため息を吐いて絶望している智裕の介抱に回った。
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