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オオタケくんの憂鬱④
ゆっくりと遠回りして裕也は自分の教室に戻ると、クラスの運動部の男子たちがそれぞれ部活に向けて着替えて準備していた。
「よぉ大竹、まだ帰ってなかったのかよ。」
「あー…購買行ってた。」
何となく返事をしながら、自分の荷物をまとめる。
(家帰って飲も。)
パックのミックス・オレを鞄に仕舞い、それを持って教室を出て行こうとした。
すると「ピンポンパンポーン」と校内放送のチャイムが鳴った。
『2年5組の大竹裕也、宮西 椋丞 、まだ校内に残っていたら至急職員室へ。繰り返す、2年5組の大竹裕也、宮西椋丞、まだ校内に残っていたら至急職員室へ、駆け足!』
声の主は担任の星野だった。
そしてその声に殺気がこもっているようで裕也は顔を青くした。
「え?お、俺、公民の課題、だ、出した、よな?」
挙動不審に周りのクラスメートに質問するが冷たくあしらわれる。
「知らねーよ。とっとと行った方がいいんじゃね?」
「椋丞は⁉︎あいつもだろ⁉︎」
「宮西はとっくに帰ったんじゃねーの?」
「なんだよあいつ!俺だけじゃ…。」
「俺も逃げる!」と宣言し廊下に出ると、里崎と一起の委員長ズに確保された宮西がいた。
「逃げても無駄よ、椋丞。」
「観念しろ、宮西。」
「チッ、グルかよ。」
裕也も逃げ場を失った。
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