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新体制で始動①

 拓海に悩み相談のついでに濃厚なキスを交わして満足した智裕はヘラヘラした面構えでグラウンドに向かった。 「松田、顔。」 「あ、あぁ…悪いな。」  清田に指摘されて、クッと表情筋を締める。  そして清田と香山が整列する部員たちの前に立つ。 「今日から新たなチームで、もう一度甲子園に向けて活動する。2年は4人だけ、ベンチ入りの経験者も合わせて5人しかいない、1から築き上げる厳しい状況だが…だからこそ他所の100倍努力して完全勝利を目指し、今度こそ馬橋学院をぶっ潰す!いいな!」  はい!  今日から主将(キャプテン)に清田、副主将(キャプテン)に香山をおいての新体制で動き出す。 「松田、川瀬、そして赤松。お前らは夏の悔しさ、怖さを経験している。だからこそお前らに他の部員はついていく、その自覚を持って練習に励めよ、いいな!」 「うっす!」 「おう!」 「はいっ!」 「今日はランニング5周、アップ運動ののち、野手は素振りとティー、投手はキャッチボール。特に投手陣は来週にはローテーションを決定する、気をぬくなよ!」  はいっ!  堀と比べ数倍厳しい主将・清田の声に部員たちも背筋を正して一層声を出した。 (後藤先輩といい清田といい、キャッチャーって悪魔に魂でも売ってんのか?)  そんな疑問を抱きつつ、智裕もランニングを下半身強化を意識して開始した。

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