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アカマツくんの愛の重さ①

 翌日、裕也はいつも通りの時間に登校した。  いつも北側の門から入る。すると門を通ってすぐに誰かに腕を取られた。 「ぬおっ!」  驚いてコンマ数秒思考がフリーズした。しかし気がついてすぐに暴れて抵抗する。 「裕也さん。」 「な、直倫⁉︎何してんの?」  犯人は制服に着替えた直倫だった。  しかしいつもならキッチリとネクタイまで締めているのに、ノーネクタイでボタンも1つ外れている。着方もぐしゃぐしゃだった。 「すいません、ちょっと付いてきてください。」 「へ?あ、おい!な、何⁉︎」  手を引かれて付いていくが、直倫に導かれるのは校舎とは反対の方向だった。  段々と人が少なくなって、着いたのは部室棟だった。そして勿論、中に入ったのは野球部の部室。  部室に押し込まれると、ガチャリ、と施錠するような音がした。

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