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フタリの愛の質量①
(教えて下さい…だと?)
裕也はピクリと反応した。そして小さく低く呟く。
「それは…こっちのセリフだよ……。」
裕也の怒りの声に直倫は驚き、泣きそうになって俯いていた顔を上げた。
直倫の目には怒りに満ちた表情 をしている裕也が映った。
「俺のくっだらねー昔話なんかより、お前の方がコソコソコソコソしてんじゃねぇか。」
「裕也さん…?」
「俺、そんなに頼りないか?チビだから?バカだから?女役だから?」
(あれ、なんだこれ。めっちゃキレたいはずなのに……。)
裕也の目からは涙が溢れていた。
「お前のモンは俺も全部一緒に背負ってやるって言ったじゃねーか!俺の過去知らねーお前より今のお前を知らねー俺の方が惨めじゃねーかぁ……!」
いくら怒鳴っても、怒りでなく悲しみが直倫には伝わった。
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