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フタリの愛の質量②

 直倫が拘束の手を緩めると裕也は腕で顔を隠した。 「なんだ、よ……トライアウトって……落ちたって……ンなこと、知らなかったし……そんな、おれ、触れられたくねぇ、ことなの?」 「何で…そのこと……。」 「受け、て…ること…知らなかった……知って、たら…あそ、び…誘わなかった……俺のせい、かも…じゃん……おま、え…が……。」  _あいつの将来考えたら四高(こんなとこ)にいちゃいけないのは分かってんだ。  盗み聞いた智裕の悩む言葉が裕也の頭に巡る。その言葉が今更、また痛く裕也に刺さる。  続けようとした言葉は「お前が日本代表になれなかったのは俺のせいだったかもしれないじゃん。」だったのに、口走った言葉は違った。 「置いてくなよ……離れんな、よ……。」  聡い直倫はその言葉が発せられる意味に気がついていた。  だけど、まだ確証が取れない、それが不安で訊ねた。 「どうして、そんなこと言うんですか?」  そっと裕也の腕を取って、隠されていた顔を暴く。ぐちゃぐちゃに泣いて真っ赤になって、釣り上がってた眉は下がってしまっていた。  その潤んだ目は直倫をしっかり見ていた。 「好き……だから……おまえ、が……すき……だからぁ……。」

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