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アカマツくんの愛の重さ⑥
直倫はもう一度だけ首の後ろにキスをすると、右耳のピアスに触れた。
「これ、なんの石でしたっけ?」
「あ……うん……なんだっけ?」
「ガーネットですよね。」
「覚えてんなら訊くなよ。」
「松田先輩と石蕗先生はお揃いでアクアマリンのマグネットピアスだって、夏休み中散々自慢されましたけどね。」
「アクアマリンなぁ……まーツワブキちゃんは綺麗な水色って合ってるよな。」
「アクアマリンの石言葉は『幸福』……そしてガーネットは『忠実な愛』って意味ですよ。」
「…………言っとくけどそれ選んだのお前だかんな。」
「でも嵌める為に開けたのは裕也さんですよね?」
からかうように言い返した直倫に反論するために裕也が振り返ると、反論は許されずに即座に唇を食べられた。
舌を2、3絡ませて、「はぁ」という吐息で離された。
「はぁ……もー疲れた……帰りてぇ…。」
「でも昼休みまでは残って下さいね。」
「もう早退でいいじゃん……。」
「俺の敵になる、ちーちゃんのお話を一緒に聞きましょうね。」
「さらっと怖いこというなよ。」
なんとなく、ちーちゃん、もとい、加治屋の身が危険になりそうだと考えた裕也は、直倫の左手を取って薬指にキスをした。
その行動にキョトンとしていると、裕也は直倫の左手を両手で持って俯いた。耳まで真っ赤になっている。
「そこ……俺が予約したから……誰にも、取らせねーっつの…だから嫉妬とか程々にしろよ、バカ倫。」
直倫は左手が熱くなる。そして心が溶かされて温かくなる。自然と笑みがこぼれた。
「はい!」
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