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エガワくんの吐露④
残された2人は少し緊張したが、話を切り出したのは拓海だった。
「江川くん、一緒にご飯食べよ?」
拓海が微笑んでそういうと一起も少し朗らかになった。
一起は昼食を食べながら大阪であったことを一通り拓海に話した。
「え⁉︎義兄 さんと会っちゃったの?」
「はい、それと……星野先生は石蕗先生のこと覚えてましたよ。」
「あー……ごめん、俺全然知らない…そっか10歳上だから姉と同じだ…世の中狭いなぁ……。」
拓海はモグモグと箸を進めながら「あー」「うー」と困ったような表情をする。
(コロコロ表情変わる人だなぁ…こりゃ男でも惚れちまうな、松田。)
一起はパンを食べながら拓海の百面相を密かに楽しんだ。
「その……萌香 …さん?って名前だけは俺も聞いてた。俺の姉が親友だったらしくてさ……いつも強い姉が酷く泣いていたのは覚えてるよ。そっか…その人が星野先生の…。」
拓海も悲しそうな表情をした。
一起はパンを最後の一欠片をストレートティーで流し込んで、「はぁ」とため息をつくと遠くを見る。
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