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旅の準備③
「え?井川 とヨーコさん仲よかったの?」
「少なくとも松田とよりは仲良いわよ。」
「うっわー、ついでに攻撃するのやめてくれない?」
「よ、よろしくね、松田くん、宮西くん。」
井川乃亜、高梨や里崎ともずっと一緒にいることはない女子。
大人しめで成績も江川と同じくらい優秀でテスト前に女子はみんな井川を頼ることが多い。智裕は1年の1学期に教科委員を一緒にやったことがある。
「井川、教科委員ぶりだな。」
「う、うん。」
「つーか俺3日目の朝で抜けるんだけど。」
「あー、そっか。じゃあ、松田くんは…大阪の自由行動は無し、なの?」
「うん、むしろ大阪で自由を奪われるんだよ俺。」
「そーなんだ……。」
「あ、でも京都は初めてだから楽しみだなー。アイツら熟年夫婦旅行になるだろうし、よろしくな。」
「あ……よろしくね。」
智裕が井川に無邪気に笑いかけると、向けられた井川は頬を赤らめた。
「井川?どした?」
「え、な、何でもない!」
(あーあ……あの鈍感男は、またやらかすかもねー。)
里崎は智裕に呆れた目を向けながら井川と智裕を見守ることにした。
宮西も井川がこの修学旅行で何をしようかとしていることが想像出来た。
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