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交錯する気持ち③

 一起と里崎は教室に残って今日決まった修学旅行の班分けや、部屋割り、新幹線の席順、バスの席順をまとめていた。  その隣では文化祭実行委員の裕也と宮西が明日のLHRで話し合う為の準備を一起たちに教えてもらいながらこなしている。 「椋丞と高梨がいるなら喫茶店になりそうだーよなー。」 「え、面倒なんだけど。」 「喫茶店やるにしても、増田さんもいないから凝った衣装とか無理でしょ?」 「そーなんだよ!ウチのクラス、一起、若月、椋丞…あと眼鏡オフのカッちゃんとか、ついでにトモとか地味にイケメン揃ってるから流行りの執事喫茶とかいける気がしてたんだよー!」 「でも最近のホストってスーツじゃねぇんだとよ。ネオホストっていうの?」 「文化祭でホストクラブなんかやるかボケ。」  里崎、宮西、裕也はテンションの低い一起に一斉に目を向けた。  言葉は鋭いがその声は無気力に近かった。 「一起、どした?」 「は?」 「江川くん、なんかここんとこずっと元気ないよね?」 「そんなことないけど…なんか、ごめん。」  一起は何度目か分からないため息を吐いた。  その憂う表情に裕也と里崎はドキッとする。 「……江川、エロいぞお前。」 「はぁ?意味わかんねーんだけど。」  表情を変えない宮西が指摘すると、何故か裕也と里崎の方が焦る。 「1学期の時のアレ、キスマークの相手か?」 「ちょ、椋丞!」 「一起!お前マジで彼女出来たのかよ!」  一起はキスマークなんてついてないのに首筋を慌てて手で隠す。 「あ、彼女じゃなくて彼氏?でもお前だと挿れる方だろ?え、挿れられる方なの?」  宮西は左手で輪っかを作って右の人差し指と中指で輪っかにズボズボとして見せつける。 「椋丞、やめなさい!」 「あのなぁ……そんなんじゃねーから!」  一起は席を立って教室を出て行く。 「一起?どこ行くんだよ?」 「トイレ!」  乱暴にそう告げて去って行ってしまった。

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