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野球部閑話【次の馬橋学院】⑤

 ブルペンでの投球練習を終えた八良はすぐに監督に駆け寄った。 「監督!なんやあの1年!俺めっちゃ球速よなったんやけど!」 「良かったやん。」 「あいつマスク被るまでオドオドしとったやんか!何者なんあいつ!」 「畠晃、この前のレギュラー試験、捕手では断トツやったんや。山根と争わせるつもりやが、背番号2はほぼほぼ畠で決まりや。」 「………は?」 「畠は天才や。チームに慣れたら主将(キャプテン)、ゆくゆくは日本を代表する高校生捕手、そしてドラフト1位になる可能性もあるで。見てみ。」  監督に促されて八良はグラウンドを見た。キャッチャーの盗塁阻止のスローイング練習が行われていた。  畠のスローイングは他を寄せ付けない程に完璧で八良は圧倒された。 「あれと、“東の松田”っちゅーバッテリーも見てみたいもんやな。天才同士、世界獲れるんちゃうか?」 「…監督、それはアカン……。」  八良は監督の放った言葉に拳を握った。  そして畠を見ながら八良はニヤリと笑った。 「天才は俺や。アイツと組むピッチャーは俺や。」  声では強気だったが、心は穏やかではなかった。 (あかん、俺はアイツの技術に相応しいピッチャーにならな!) ――

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