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野球部閑話【次の馬橋学院】⑥
そして今年、畠は背番号「2」に加えてキャプテンマークも与えられた。
カキーンッ
「おー、畠も引っ張りで飛距離出るよぉになったんやなー。」
中川は畠の打撃力に驚いていた。しかし金子はそれは当然だと言うような笑みを浮かべている。
八良はスマホを取り出して、畠のシートバッティングを撮影した。
カキーンッ
また快音が鳴り、グラウンドのネットの上部に直撃した。これが球場ならば本塁打という飛距離。
「くっくっく…こりゃ、U-18のキャッチャーも分からんわなぁ。レオっち1択や思ぉとったけど…。」
「ハチロー、お前もうかうかしてられへんで。」
「わかっとるわ。」
ハチローの動画フォルダには、先日金子を経由して送られてきた第四高校の松田智裕の投球動画が入っている。
「今年の2年はえげつないわ…天才左腕に天才捕手、でも世界の頂点に立つときにおるんは俺とレオっちやで…。」
今の馬橋学院の野球部グラウンドには、恥ずかしがり屋だった畠の声が響き渡っている。
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