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マツダくんとユイさんの距離⑧

 選手たちは練習後のストレッチを終えて、汚れたユニフォームから私服のジャージなどに着替えた。  出入り口で記者やファンが待ち構えていて、八良と中川と後藤は慣れたように対応していた。 「ハチローくーん!頑張ってぇ!」 「おおきにー♡」 「中川選手!ホームランお願いします!」 「おう!応援頼むでー!」  プロに1番近い2人のキラキラしたスター性は凄まじかった。八良の愛嬌は恐らく天性のものなのだろうが。 「畠…俺らとんでもねー人達に喧嘩売ったんじゃね?」 「じゃね?やなくて売って買われたんや。絶対ボッコボコにしたる。「お前…俺より膝震えてね?」  智裕は晃の右腕をツンツンと突いた。 「ひゃうんっ⁉︎」 「……え。」 「……な、なにすん、ひゃっ!うあ!やめ、やめぇや!」  晃の反応が面白くなった智裕は晃を「うりうり」と言いながらツンツン攻撃し始めた。  そんな微笑ましい光景をファンが見逃すはずもなかった。  すぐさまその姿は多くの人のスマホに収められた。

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