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立ちはだかる壁⑧
(これ、晃と組んでる時より要領良くて徹底的な研究の上でバッター心理を突いてる……。)
恭介はスマホアプリの速報と試合を見ながらただただ驚いている。
そして少しだけ下を見るが、晃の姿は見えない。次に智裕を横目で見る。
(明日、もし晃が替えられて松田が後藤と組んだら、また松田 がずっと遠くなる。くっそ、俺もうかうかしてらんねーってことかよ。)
恭介にも奥歯をギリっと噛んでしまうほどの悔しさと恐怖が込み上げてくる。
「晃……。」
無意識に晃を案じる声を漏らしたらしく、智裕はそれを聞き逃さなかった。
「やっぱ、お前も畠好きなんじゃん。」
「…………あ?」
「完全に今の彼氏の顔だったし。」
「真剣に試合見ろクソヘタレ。」
恭介は智裕の耳たぶを強く引っ張って智裕と一緒に視線をグラウンドに戻した。
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