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立ちはだかる壁⑩

 恭介の急な怖い声に晃は怯えたようで震えた声で『ごめん』と何度も謝る。 「なぁ、お前は今誰に(すが)ってんだよ。」 (あ、やべぇ……これじゃ松田や赤松と同じだ。) 「今お前の泣き言聞いてやってんのは誰だよ。」 (松田八良が優先されて、すげーモヤモヤするしムカつく。) 『キョ…キョースケ…。』 (こんなクソみてぇな泣き声が、可愛いとか思っちまうなんて。) 「じゃあ、松田八良がどう思おうが、後藤礼央に嫌われようが関係ねぇよな。」 (あーあ、俺も他人のこと揶揄(からか)えねぇよ。) 『キョースケぇ……。』 (俺、とっくに晃が……。) ――

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