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立ちはだかる壁(11)

 カーンッ  木製バットの快音が球場に響いた。その音で昨夜を回顧してた恭介はハッとした。  気がつけば八良と後藤が三者凡退にし、2回表、6番の後藤が3ランホームランを放っていた。ライトスタンドに勢いよく白球が吸い込まれるように。  ヒットで出塁してた中川と大東が先にホームベースを踏み、ホームランを放った後藤を2人が出迎える。 「後藤先輩…容赦ねぇ……あれ絶対狙って打ったやつだよ。」 「バッターボックスでもキャッチャーであれ……。」 「は?」 「バッターボックスでも相手の配球を読んで、それを捕らえろ、って昔の名捕手の言葉だよ。」 「あー……そういや四高(ウチ)でも4番お前だしな。そういうことか…。」  恭介もあの快音から後藤に目を奪われてしまう。まさに恭介が求めていた理想像が具現化したようなプレーヤー。 「これ見せられて、頑張れ、なんて酷いよな、俺。」  自嘲するしかなかった。 (晃…お前、今ベンチでどんな顔してる?泣いてないか?不安になってないか?)

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