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オトウトたちの秘め事⑩

 風呂から上がると、智之は大介を気まずそうに見る。晃介と侑芽は10時になって眠りにつくと、大介と2人きりになった。  大介は旅行用のバッグに荷物を詰めていた。 「大介……。」 「ん?」 「アレって…普通は1人でやる、んだろ?」 「そうだね。」  ダイニングの椅子の上で体操座りをして膝を抱え、モジモジと股を擦り合わせながら智之は顔を赤くした。 「なんか…自分であんなの……出来る自信ねぇんだけど。」  大介の作業の手が止まった。そして顔だけを智之に向けて、不敵な笑みを浮かべた。 「いいよ、俺がやってやるから。智之は何もしなくていいから。」  智之は頭のどこかでその甘言はイケナイことだと理解しているのに、大介の言葉を肯定するように頷いてしまった。 (馬鹿正直で、可愛いやつだな。) 「あ、大介!お土産買ってこいよ!」 「残念だけど合宿だからお金は持っていけねーんだわ。」 「えー!」

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