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アニたちは知ってる?

 夜、智裕はし●むらで買い物を終えて家に戻る途中だった。 「よぉ、どヘタレ。」 「あ、宮西。お前おばさんの店の手伝いじゃねーの?」 「乾きモンの買い出しだよ。」  コンビニの前で自転車に(またが)った宮西がいたので智裕は声をかけた。 「あ、そういや今日智之がお前んちに泊まるとかで俺パシリいないんだけど。」 「あっそう。たまにはひとりっ子もいいもんだぜ。」 「お前に言われても説得力ゼロだわ。」  棒読みの宮西に地味に慰められると智裕は項垂れた。すると宮西は「ちょっと待てよ。」と考え始めた。 「松田ぁ…お前の弟って精通してんの?」 「は?知らねーよ!つーか何でそんなの訊くんだよ!」 「いや、なぁんかなぁ…お前の弟の貞操が危ねぇなぁと心配になった。」 「あ?」  あまりに唐突な宮西の言葉に智裕は一歩も動けない。 「え、侑芽ちゃん?」 「ンなわけねーだろ、大介だよ。昨夜か?智之が泊まりに来るの分かった後にトイレでマスかいてんの聞いちまったんだわ。」 「………はあぁぁぁぁあぁぁ⁉︎」  智裕は持ってた荷物を全部落としてしまった。さすがの宮西も少し引き気味で話を続ける。 「俺もビビったっつの。まさか俺の弟がホモでショタコンとかさ、受け入れ難いが性癖だから仕方ねぇよな、うん。」 「おい!今すぐ帰せ!智之のケツが、ケツがあぁああぁぁ!」 「もうヤられたかもなぁ。」 「っざけんなあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  夜の街に兄の悲痛な叫びがこだました。

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