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マツダトモヒロという存在①
日曜日、午後12時30分過ぎ、神宮球場の1塁側外野スタンドに第四高校2年5組と野球部は座っていた。
「え、ここ外野スタンド?近いね。」
「ひっさしぶりに来たけど、確かに近いなぁ。ブルペンすぐそこだし。」
初めて観戦にきた拓海は予想外の近さに胸を高鳴らせていた。
「今日はU-18が後攻だから最初にトモがマウンドに上がると思うぜ、ツワブキちゃん。」
「そ、そうなん…だ。」
何度も野球観戦経験がある裕也に丁寧に教えてもらいながら拓海は球場をキョロキョロと見渡す。
「茉莉 ー、チュロス食うか?」
「いたーだ!……おいちー!」
茉莉はすっかり宮西に懐き、かつ、2年5組のアイドルと化していてお兄ちゃんお姉ちゃんたちに可愛がられている。
「あ、まーちゃん飲み物空っぽだ。」
持参してきた水筒は既に飲み干されていた。
「俺飲み物買いに行ってくるから…宮西くんまーちゃんのこと頼めるかな?」
「茉莉、パパに行ってらっしゃいは?」
「いってらー!」
「慌てなくていいよ、ツワブキちゃん。」
茉莉は宮西の膝の上で球場でみんなが買ってきたご飯やおやつを満喫していた。宮西のジーンズは食べカスがボロボロに落ちていたが、宮西は嫌な顔ひとつしてなかった。
その様子で拓海は安心して一旦スタンドを降りて、ペットボトルの麦茶を探してキョロキョロと売店などを見渡した。
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