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マツダトモヒロという存在②

(自販機……あ、あった!)  自動販売機でペットボトルの麦茶を購入して、急いでスタンドに戻ろうと歩くと、誰かと肩がぶつかった。拓海は一歩下がって頭を下げた。 「すいません!」  一言謝って歩き出そうとしたら、左肩を押されて阻まれた。 「拓海?」  拓海は阻んでいる人物の方を見ると、少しだけ背の高いスーツ姿の容姿端麗な男性。  顔を見た瞬間、拓海は驚いた。 「にぃちゃん⁉︎……え、何で?」  拓海と同じく色素の薄い茶色の髪で、サラサラのショートヘアが決まっている色白の、少しだけ怖い雰囲気の美人な男性は、拓海の石蕗(つわぶき)郁海(イクミ)であった。

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