952 / 1000
マツダトモヒロという存在②
(自販機……あ、あった!)
自動販売機でペットボトルの麦茶を購入して、急いでスタンドに戻ろうと歩くと、誰かと肩がぶつかった。拓海は一歩下がって頭を下げた。
「すいません!」
一言謝って歩き出そうとしたら、左肩を押されて阻まれた。
「拓海?」
拓海は阻んでいる人物の方を見ると、少しだけ背の高いスーツ姿の容姿端麗な男性。
顔を見た瞬間、拓海は驚いた。
「にぃちゃん⁉︎……え、何で?」
拓海と同じく色素の薄い茶色の髪で、サラサラのショートヘアが決まっている色白の、少しだけ怖い雰囲気の美人な男性は、拓海の実兄・石蕗 郁海 であった。
ともだちにシェアしよう!