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ハタケくんの涙①
3回表に入る前に球場アナウンスが響く。
『選手交替のお知らせです。キャッチャー・畠に代わり、後藤礼央、背番号21。』
バックスクリーンには黒縁メガネをかけた後藤の笑顔が映っていた。
「やっぱキャッチャーかー。」
「松田、全然失投してねぇのに1イニングで3失点だもんな。」
「これで立て直せなかったらピッチャーも交替だろ。」
野球に詳しいと思 しき人たちはこの交代劇を口々に意見する。
その全てが晃への批判だった。
「ねぇ、大竹くん…これって変なことなの?」
この異様な空気に疑問を抱いた拓海は隣にいた裕也に訊ねた。裕也は自分の肩を抱く直倫を見上げて話す。
「俺こんなん初めて見たんだけど……直倫、畠晃って馬橋の正捕手なんじゃねーのかよ。」
「そうですけど……何があったんでしょうか……。」
直倫すらこの交代劇には首を傾げていた。
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