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ハタケくんの涙②
「1回は松田の奴、首振ってたのに…さっきの回は全部晃の要求通りだったんだよ。」
直倫の近くにいた恭介は低い声で呟いたので、聞こえた全員は驚いて怯えた。
恭介のとなりに座っていた野村は恭介の顔を見ると心配になる。
「き、清田くん……顔、怖いよ?」
「あ?」
「あ、じゃなくて……か、お!怖いよ。」
「……ちょっと便所。」
恭介は立ち上がってどこかに行ってしまった。野球部は唖然として恭介の背を見た。
「キャプテンめっちゃキレてません?」
「別に松田が降板したわけじゃねーんだけどなぁ……。」
「あ、でもさ、この前もファミレスで清田と馬橋の畠、テレビ電話してて…。」
川瀬がそんなことを思い出したように言うと、弥栄は裕也からずっと離れない哀れな同級生を指して。
「馬橋のキャプテンとウチのキャプテンもあんな関係だったりしたらどうします?」
そんな爆弾発言に対して、部員たちは顔を赤くしたり青ざめたり様々な反応をする。
すかざず香山は弥栄の肩を掴んで訴えた。
「弥栄ぁ…お前マジ滅多なこと言うんじゃねーよ……同じ部にホモは赤松 1人で充分なんだよ。」
「え?だって好きになったらおっぱいが大きくても小さくても関係ないじゃないスか。」
「問題はそこだけじゃねぇ!そして清田に彼女とか彼氏とかキモいんだよ!あいつがデレデレしてんの想像するだけでゲロ吐きそうだわ!」
「あーわかりますそれ!キャプテンがあんな膝乗ったりなでなでされたりすんの見たくねぇっすよね。」
そんな部員たちの憶測トークへのニヤニヤを堪える増田だった。
(き、清田くん……どこ行ったのかなぁ?お、追いかけたい。きっと畠くんのことを慰めに…あ、でも畠くんまだロッカーとかだから、あ、でも抜け出したらトイレとか連れ込んで……清田×畠、超見たい!どんなトロ顔すんの畠くん!絶対可愛い絶対やばい!)
「私もちょっとトイレに、」
「琉璃ちゃん、さっき行ったよね?松田くん2アウト目取ったから応援しようか?」
増田の煩悩は彼氏 に制されてしまった。
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