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ハタケくんの涙⑥
同じ身長、同じ目線、真っ直ぐに捉えた晃の泣き顔を恭介は奪う。
「お前さ、俺のこと好きだろ?」
「へ……え、あ、あ、あ…そ、それは…その…。」
(あーあ、顔真っ赤っか。)
愛おしい、そんな気持ちが恭介の心臓を高鳴らせる。
決して可愛らしいとは言えない顔身体で、恭介なんかよりも遥かに逞 しい心身を持ち合わせているからこそ、日の丸を背負っている、この場にいる。
なのに、目の前にいて図星を突かれて真っ赤な顔で慌てる晃が、愛おしい。そんな想いを言葉にするより先に、唇の体温で伝えた。
(口、震えてる…可愛い奴。)
晃にとって初めてのキス。わからずに呼吸をしようと唇を開いた隙に恭介は舌を侵入させた。
「ふぅ…んん……。」
戸惑い逃げる晃を恭介は追った。
絡め取って、同時に握りしめていた晃の手も指を絡ませて撫でて、逃さないようにと体現する。
(本当に何も知らない……野球以外のことは。だから俺はこいつに負けたんだ、よな……。)
唇を離すと、晃の赤くなって目が潤んだ、恭介を興奮させる表情が目に映った。
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