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ハタケくんの涙⑦

「キョ……スケ……。」 「離したくねぇな……。」 「え…。」  恭介はそう切なそうに笑ってみせると、晃を引き寄せて強く抱きしめた。  晃はおずおずと背中に手を回して密着すると、自分の心臓の打つ速度と恭介の心臓の打つ速度が同じだと気がつく。 「キョースケ……あの、な……。」 「うん。」 「俺…な……。」 「うん。」  キュっと恭介の服をつかむように、縋って、震える声を絞り出した。 「俺、キョースケ…が……好きや…。」  その想いを、恭介はもう一度のキスで応えた。  さっきよりも、もっと遠慮なく、激しく。  今度は晃も拙く交えた。 「ん、あぅ…ん…っ。」  グラウンドでの勝気な声は微塵も残らず、ただ好きな人に身を委ねるための声だった。  それから恭介は全身の理性をフル回転させてどうにか晃を解放した。

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