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アカマツくんの遠い世界①
晃がベンチに戻った時は5回裏ノーアウトの状況。
U-18日本代表チームは3点ビハインドだった状況から同点にまで持ち込んでいた。バッターボックスに立っているのは6番の後藤だった。
そしてブルペンでは智裕と、島田が投球練習をして肩を作っている。
その様子をスタンドから直倫は静かに見ていた。
「島田……。」
本当は奥歯を噛み締めたいくらいに島田の覇気を見ることが悔しかった。
だけど、今スタンドで観てるだけの自身とブルペンに智裕と肩を並べる旧友から目を逸らすことの方が悔しくて出来ない。
「えっと、背番号41番……島田翅 、1年⁉︎」
裕也はブルペンにいる島田をスマホで検索した。そして出てきた島田のプロフィールを見てから、隣で先程から大人しくしている直倫を見る。
「直倫……お前……大丈夫か?」
「……ええ、俺はちゃんと見ないとダメなんです。島田と俺は何が違ったんだと…。」
島田が投げる球は直倫が知っているものではなかった。トライアウトで見たときにも圧倒的であったが、今はそれ以上だった。
島田の隣で投げている智裕もまだ疲れが見えない。
2人に近づくのは由比で、由比と言葉を交わしているであろう智裕も島田も、まるで別の世界の住人のようだった。
直倫は拳を握る。
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