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アカマツくんの遠い世界②
裕也は少しだけ目を伏せ、スマホをポケットに突っ込むとその握りこぶしの片方にそっと手を置いた。
優しい温度を感知した直倫はその手の先を見つめる。
「直接ぶっ叩いてやれよ、秋季大会でさ。」
「裕也さん……。」
直倫は悔しさで握った拳を解くと、裕也をまた抱き寄せた。
「裕也さん…本当に貴方って人は…。」
「うぜぇ!暑苦しいんだよバーカ!」
直倫に抱かれながらも裕也は島田を見ていると、智裕の言葉を思い出す。
_もし赤松が聖斎だったら日本代表になってた。
(本当なら、直倫もあの場所にいたのかも、しれねぇのに……何が、お前の枷 になってんだ、直倫。)
「俺、なのか?」
「どうしたんですか、裕也さん。」
チリチリと痛んでくる胸に耐えられず、乱暴に「トイレ!」と叫んでその場を離れた。
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