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旅の前の日⑤

 その日、2年生は朝のHRから浮き足立っていた。明日からの修学旅行に向けての楽しみで胸がいっぱいだった。  そんな中、智裕だけは憂鬱な顔をする。 「修学旅行中にさ、どっかで1発ヤれねーかな。」  旅行のしおりにあるスケジュール表をだるそうに眺めながら智裕はそんな事を吐いた。それを聞いた里崎は嫌そうな顔をした。 「何をとは()かないけど、とりあえず陽の高いうちから下ネタやめろ。」 「拓海さんって1人部屋なんだよなー、あーどっか抜け出してヤりてーよー…もう2週間もチューだけで我慢してる俺偉くね?」 「はいはい、そろそろ黙ろうか。つーか隣に乃亜ちゃんいるのによくそんな事を臆せず話せるわね。神経疑うわー。」 「よ、ヨーコちゃん…私なら平気だから。」  そうは言いつつも智裕のどストレートな欲求不満に井川は顔を赤くして俯いてた。 「で、京都のコースは清水寺に地主神社行って…嵐山とかはいいの?」 「行きたいけど今外国人ですごく混んでるから移動時間も厳しいかもだしねー…。」 「俺はヨーコさんと井川に任せるわー。全日本合宿のことで頭いっぱ……。」  智裕はだるそうしていたが、自分の発言で日曜日に由比にされたことを思い出して勝手に赤面をした。

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