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大切な人の誕生日②
「椋丞も来月だろ?」
「おう、プレゼントは諭吉さん1枚でいいぞ。」
「無理。う●い棒の30本入りのやつな。サラミ味でいいだろ?」
「ケチ。」
智裕が気絶している中、誕生日の話題はまだまだ続いた。
「裕也さんはいつですか?」
「赤松、それ禁句。」
「え?」
宮西は直倫に割と真面目に制止した。
しかし既に手遅れで裕也は完全に不貞腐れた顔をしていた。
「あ…裕也さん……すいません。」
「いいよ別に。」
ジュルジュルと勢いよくミックスオレを不機嫌に飲み干す裕也の異変に近くにいた野村も気が付いたので近づいた。
野村も床に転がっている智裕をスルーする。
「大竹くん、どうしたの?」
「べっつにー。」
「誕生日の話だよ。松田もツワブキちゃんの誕生日知らなかったみてぇだし、大竹 も案の定、赤松に教えて無かったんだよ。」
「あー……まぁ大竹くん、いい思い出ないもんね。誕生日が12月24日だと。」
サラっとバラされた裕也は、飲んでたミックスオレを口端からダラーっと零した。
「誕生会もクリスマス会になって、誕生日プレゼントもサンタさんからしか貰えなくて、すっごい嫌がってたよねー。」
「去年も早苗 (※裕也の姉)のクリスマス合コンの頭数に合わせられたんだよな、本当にロクなことねぇな12月24日生まれは。」
「俺の忘却しようとした記憶を呼び起こしてんじゃねーぞクソ椋丞!」
裕也がずっと隠していた誕生日を、直倫は既に頭にインプットしてシュミレーションまで開始していた。
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