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ツワブキさんが欲しいもの⑦

 通話を終了したあと、由比はスマホをしばらく見つめていた。その表情は心ここにあらず。 「智裕くん……まるで最後みたいな言い方だったけど……。」  スマホの画面をロックしてローテーブルにおいて、一時停止していたテレビの動画を再生した。  由比が見ていたのは夏の甲子園の馬橋学院と第四高校の試合だった。 『空振り三振!4番・中川もここは松田の変化球に対応出来ません。』 『今のスプリットは、恐らく今日一番の球威だったと思います。完全に中川選手は振り遅れてますね。』 (荒い……こんな球、智裕くんらしくない。まだこの時は、松田八良に気持ちを依存させてしまっていたんだな……でも、それを超えたい、と来たか。)  テーブルに置いてたマグカップの冷めたコーヒーを飲んで、「ふう」と息を吐く。 「楽しみだな、どれだけ化けるか。」

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