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マツリちゃんのイヤイヤ期①
「いや!」
「嫌じゃないの、まーちゃん、お家に入ろう?」
「いや!」
「どうして?もうすぐまーちゃんの好きなワンワンのテレビ始まるよ?」
「いや!」
「まーちゃん…もう、はい、パパとおてて繋いで…!」
「いやあぁぁぁぁぁぁ!」
自宅まであと数メートル、エレベーターの前で拓海は怪獣と化した茉莉と格闘していた。
何故か茉莉が座り込んで動かない。そして頑なに拓海の言葉を拒否する。
今、茉莉は俗に言う「イヤイヤ期」の真っ只中で、これは茉莉の自我の芽生えで成長の証だと拓海は頭では分かっていても中々苦労していた。
「まーちゃん!行くよ!」
「いやあぁぁぁぁぁぁ!いらなーーー!」
「いい加減にぃ……。」
「やあぁぁぁぁ!」
重たい荷物を全て片手で持ち、茉莉の手を引っ張って立ち上がらせようと拓海は力を入れるが、茉莉の抵抗も強かった。
そんな攻防をしていると、エレベーターが開いて見知った顔が出てきた。
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