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ツワブキさんのモヤモヤ②

 拓海が起きたら、外は明るくなっていた。 「んにゃ……ん……。」  拓海は全裸だったはずなのに、ちゃんと部屋着を纏っていて、シーツも新しく替えられているようだった。  重い身体を起こしてベッドから降りて部屋を出る。  玄関に目を落とすと、智裕のサンダルはなかった。  誰もいないダイニング。  テーブルにはコンビニのオニギリとカップ味噌汁が置かれていて、ベランダの窓が開いていたのでそこに目をやると洗濯物が干されていた。  _拓海さん、おはよう。今日は由比コーチの野球教室の手伝いと練習があるからもう出るね。茉莉ちゃんは夕方までオフクロが預かるってことだからゆっくりしてね。  雑な字で置き手紙が置かれてた。そして最後に。  _大好き  その3文字に拓海は心が跳ねた。だけど。 (由比コーチに会うんだ……もやもや、またしちゃう……。) 「イヤだ、なぁ……。」

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