893 / 1000

ツワブキさんのモヤモヤ③

 夕方、松田家から茉莉を引き取ると、茉莉は今日行ってきたらしいキャラクターショーのカンムリを被って上機嫌だった。 「何から何まですいません。」 「いいのよお、ゆっくり出来た?」 「はい、お陰様で。本当にありがとうございました。」  拓海は松田母に何度も何度も頭を下げた。 「あーと!」 「はいよく言えましたねぇ。」 「……まーちゃん…ごめんね。」  拓海は茉莉を抱き上げて茉莉の顔にコツンとオデコをあてた。 「パパ、最近まーちゃん怒ってばかりだったね。ごめんね。」 「なーいない。」 「うん、ないない、だね。」 「でも怒るのは親の仕事だから仕方ないわよ。石蕗さん、また何か困ったことがあったら遠慮なく、ね?」  松田母は少し小さめの声になると。 「うちのバカの面倒見てくれてるんだし、お互い様。もう家族みたいなモンだからね。」 「松田さん……。」  茉莉が松田母に「ばいばーい」と手を振って、拓海も会釈をして自分の家に戻ろうとした時だった。

ともだちにシェアしよう!