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ツワブキさんのモヤモヤ③
夕方、松田家から茉莉を引き取ると、茉莉は今日行ってきたらしいキャラクターショーのカンムリを被って上機嫌だった。
「何から何まですいません。」
「いいのよお、ゆっくり出来た?」
「はい、お陰様で。本当にありがとうございました。」
拓海は松田母に何度も何度も頭を下げた。
「あーと!」
「はいよく言えましたねぇ。」
「……まーちゃん…ごめんね。」
拓海は茉莉を抱き上げて茉莉の顔にコツンとオデコをあてた。
「パパ、最近まーちゃん怒ってばかりだったね。ごめんね。」
「なーいない。」
「うん、ないない、だね。」
「でも怒るのは親の仕事だから仕方ないわよ。石蕗さん、また何か困ったことがあったら遠慮なく、ね?」
松田母は少し小さめの声になると。
「うちのバカの面倒見てくれてるんだし、お互い様。もう家族みたいなモンだからね。」
「松田さん……。」
茉莉が松田母に「ばいばーい」と手を振って、拓海も会釈をして自分の家に戻ろうとした時だった。
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