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マツダくんのこれからの仲間たち①

 馬橋学院、野球部学生寮の一部屋は慌ただしかった。 「明日から東京やでー!試合終わったら原宿行って可愛い服とかアクセ買うんやー♡」 「絶対そんな暇あらへんから、女装の服は要らんやろ。」 「えー!ちょっとくらいええやんかー!シュンちゃんは脳みそまで石頭やなぁ…なぁ畠。」  U-18代表の松田八良、中川駿太、畠晃は明日から週末の壮行試合前の強化練習で東京に行くことになっている。  5日間の遠征の荷造りを3人で確認しながら進めている。  案の定、八良の中川の漫才のようなやり取りが始まってしまい作業は疎かになる。  そして八良に話しかけられた晃は早々に荷造りを終えて、スマホを握りしめていた。 「畠?何してんの?」 「あ……え、べ、別に何もないです!」 「何もないなら、何で顔が真っ赤になっとるんや?」 「は⁉︎はぁ⁉︎」  八良と中川が指摘した通り、晃は赤面状態だった。  そして八良が油断している隙に晃のスマホを奪った。 「や、ハチローさん、返して…!」 「壮行試合の日、応援に行くからな………あー、キョーちゃんからや。」 「四高の清田?…あ、畠のコレか。」  中川はニヤニヤしながら親指を立てた。 「ちゃいますわ!」 「まぁ四高の連中は、まっつんが登板するっちゅー理由もあるやろし、目ぇ凝らして見てくるでー。」 「うう…。」  晃は益々顔が赤くなる。  そして八良に奪われたスマホがまた振動する。

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