900 / 1000

キヨタくんの懸念①

 晃との通話を切った後、恭介は疲労したようにため息を吐いた。 「なぁ、松田。」 「んあ?」  智裕は追加で頼んだ唐揚げを頬張りながら間抜けな声を出したので恭介はイラついて後頭部を叩いた。 「畠晃ってどう思う?捕手として。」 「畠?んー、捕手としてはぁ…天才型だけど努力家、って感じ。普段は賢そうじゃねーし、というか人見知りすげーし、やっぱ天才?」 「じゃあ後藤礼央は?知ってんだろ?」 「後藤先輩…は……あれは桁違いだよ。リードの仕方もスローイングもバッティングも…全部が頭一つ出てる。ぶっちゃけ畠は足元にも及ばない、気がする。」  智裕のあまりの真剣な言葉に、全員がゾクッとした。  野村はスマホで後藤礼央について検索をかけた。 「でも後藤先輩って…俺はまだ仏の部分しか知らねーんだけど、あれマジで鬼だと思う……バッテリーになったらやだよぉ…。」 「後藤礼央……確かにプロからも調査書とか来てるけど本人はプロ志望届出さなかったみたいだね。進学かな?」 「捕手はプロ入っても即戦力になるのは中々難しいって言うよなー。」 「そーそー…って清田?」  川瀬が香山たちに同意して恭介の方を向いたら、恭介は一心不乱にスマホに何かを打ち込んでいた。

ともだちにシェアしよう!