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第2話

「あれ、啓吾さんいるの?」 合鍵を使って入った彼の部屋。今日は用事でいないと聞いていたのに、彼はソファーにのんびりと座っていた。 「ああ、今から出るところだよ」 ゆっくりと振り返りながら彼は答えた。 僕と目が合うと、にっこり微笑んで「いらっしゃい」と続ける。僕の大好きな笑顔。いつもだったら嬉しくなるところなんだけど…でも正直、今は困る。 ソファーから立って完全にこちらを向いた啓吾さんが、今度は僕に尋ねてくる。 「悠希は今日、来ないんじゃなかったの?」 ───うっ。 そうなんだ。 今日は用事があって留守にするって聞いていたから…だからこっそり部屋を訪ねるつもりだったんだ。課題のレポートがあるから家にこもると嘘をついて。 それがまさか、こうしてばったり会うなんて… 「んー……」 言葉を濁してしまう。何て言おうかな…疑われても困るし… 自然に、自然に。 「家にいても淋しいし……ここで、その、啓吾さんの帰りを待ちながらレポートを書くのも、いいかな、とか思って」 言いたいことを一気に言い切って、ちらりと様子を伺う。 ……どうかなあ。 理由としては、まずまずだと思うんだけど。 するとそれは、正解だったみたいで。啓吾さんはふにゃりと笑ってそばにきてくれた。 「ごめんね…2、3時間で帰れると思うから」 ───それまで待っててね。 そう言うと啓吾さんは、優しく啄むようなキスを、僕にくれた。

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