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第4話
─────パタン。
目の前でドアが閉まった。
啓吾さんはもう、行ってしまった。何にも気づかないまま、もう行ってしまった。
もう……会えなくなってしまった。
別れを実感したとたん、胸がぐっと苦しくなって……僕はぎゅっと目をつぶった。
大丈夫。
大丈夫。
これからすることはすべて、二人のためになるんだから。
つらいのは今だけで……いつか振り返ったときに、これが正解だと笑って言える日が、きっと来るから…
「───よし!!」
パチンと音を立て、自分の頬を両手の平で叩いて気合いを入れる。
「やるか!あと2時間」
カラ元気でもいいんだ。
ニセモノのやる気でもいいんだ。
最後ぐらい、いい恋人で終われるように。
さあ、『片付け』をはじめよう。
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