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第2話
「僕、啓吾さんと一緒に出かけたい……です。買い物するのも散歩するのも、大好きだから……」
……じゃあ、何の問題もない。
俺だって何をするにしても、悠希と一緒がいいに決まってる。
「………でも、最近啓吾さんは僕と一緒に出かけないでしょ?家にいることが多くて。もちろん、家でのんびりも好きだけど……やっぱり、僕と一緒じゃあ、恥ずかしいから外に行けないのかなって……」
「そんなこと……」
ない、ときっぱりは言い切れなかった。確かにここのところ家で過ごすことが多かった……というか、わざとそうしていたから。
でもそれは「恥ずかしい」とかそういう理由じゃなくて……
ぎゅーっと悠希を抱きしめて、こちらを見れないようにする。
「──あのさ…悠希は俺と一緒にいるとき、自分がどんな顔をしてるか…知ってる?」
「──顔?」
きょとんとした声……だよなぁ、分かってないんだよな。
「俺と一緒にいるときの悠希、めちゃくちゃかわいくて……ふわふわで……幸せそうな顔してるんだよ。あんな顔して外歩いてたら、誰か他の奴にとられちゃうかもしれないだろっ」
………そうなんだ。
部屋の中だろうと外だろうと、俺と一緒にいるときの悠希は、かわいさだだもれの顔でいるんだ。
んなの、他の男に見られてたまるか。
───まあ、本人は全く気づいてないけれど。
「だから、一緒に出かけるの、避けてたんだよ」
「─────ふぇ!?」
悠希は変な声を出して驚き、腕の中から抜け出そうとするけれど……そうはいくか。
真っ赤になった自分の顔を見られるわけにはいかない。
「……でも、悠希が俺のこと、本当に好きだってもう知ってるから大丈夫。今更いなくなる心配なんてしないよ。ずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
指輪だってちゃんとつけてくれてるし、何より態度に気持ちがあらわれてるし…大丈夫だ。
「───だから、一緒に出かけてくれる?」
もう一度尋ねると…
「───うん!」
悠希は嬉しそうな、でもちょっぴり泣きそうな声で返事をし、またもやぎゅーっと抱きついた。
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