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第2話
約束の土曜日。
駅前のコンビニでのバイトが終わって店を出ると、長谷川さんが待っててくれた。
「お疲れ様」
「待っててくれたんですか?すみません!」
今、電話するところだったのに!
慌てて駆け寄ると…
「いいんだよ。俺が待っていたかっただけだから」
そう言うとにっこり笑って僕の背中を押した。
「うちはこっち。ちょっと歩くけど大丈夫?」
「はい!」
少し歩くくらい平気……というか、長く歩いたほうがいいな。
おしゃべりしながら歩くなんて、散歩しているみたいで楽しいだろうから。
のんびりてくてく歩いていると、「ここだよ」という声。
10分ほど歩いたところで、長谷川さんのマンションにたどり着いた。
わー……と思わず声に出てしまう。僕の住んでいる安い学生アパートとはやっぱり違うや。
「……素敵なマンションですね」
エントランスに入ってからもきょろきょろしてしまう。仕送りとバイト代でやりくりする僕には、とても無理な物件だよ。
「そう?オートロックでもないし、新しくもないし、普通だと思うよ」
そう言って、長谷川さんはエレベーターのボタンを押した。
「うちは6階だから」
二人でエレベーターに乗り込み、6階へ。目的の階について真っ直ぐ通路を進むと、奥から2番目の部屋で止まった。
「───ここだよ」
表札には『長谷川』の文字。ポケットから茶色のキーケースを取り出すと、鍵を開けた。
ゆっくりドアが開く……
「ようこそ、我が家へ」
そう言うと、長谷川さんは僕を中へと導いた。
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