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第4話
大学の講義がいつもより少し早く終わって、一本早い電車に乗った僕は、バイト先にも早くついてしまった。
バックヤードで着替えていると、僕と同じ時間帯に働くことの多いバイト仲間が次々に入ってきては、おしゃべりを始めた。
今日はバイトをしながら留学費用を貯めているという斉藤さんと、女子大生の有野さんが一緒だ。
そう言えば……と思い『7時15分の人』のことをみんなに話してみる……他の人も気づいているのか、確かめてみたくて…
「──そんなやつ、いたか?」
「斉藤君はイケメンには興味がないから分からないんじゃない?確かに毎日来てるよね、あの人」
「有野さんは覚えてますか!?」
「もちろん!だって、稀に見るイケメンだもの!……でも、同じ時間っていうのは気づかなかったー。確かにいつも高瀬君のレジに並んでいるよね。わざとかなー」
「何でわざわざ高瀬のレジに並ぶんだよ。普通このマーク見たら避けて並ぶだろ」
そう言って斉藤さんは僕の胸につけてある名札の横の若葉マークを指した。その下には「研修中」とも書かれている。
「……うーん……どうしても時間かかっちゃうし、普通なら避けちゃうかもね……2つレジがあいてるんだから」
「ホントに知り合いじゃないのか?」
えー…
この町に来たばかりの僕に、社会人の知り合いなんているはずがない。
バイト仲間と店長くらいだよ?
「……あんなイケメンとはご縁がないです」
その後もあれこれと仮説を立ててはみたけれど、どれもいまいちぴんと来なくて……「三人よらば文殊の知恵」って、嘘だなあと思った。
その日もやっぱり、『7時15分の人』は時間通りにやって来て、いつもどおりに行動し去っていった。
結局、謎はなぞのまま…
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