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第13話
葵君と親しくなってからしばらくの日曜日。僕は啓吾さんの家に来ていた。
もうすぐ年越し。ということで、啓吾さんは大掃除をしている。
僕も何かしなくちゃと、朝から啓吾さんの周りをぱたぱたと動き回ってはみたものの、自分からみてもどうも邪魔にしかなっていないようで…お手伝いはあきらめて、自分のスペースを片付けることにした。
啓吾さんは僕の荷物を置く場所として、寝室に備え付けられたクローゼットにスペースを分けてくれている。そこを掃除することにしたんだ。
……とはいえ、実はひと月前にもう二度と戻らないつもりでお片付けをしたばかり。そんなに荷物があるわけでもなくて……整理整頓に拭き掃除と、あっさりすんでしまった。
───んー……せっかくだから、啓吾さんのスペースまでお手伝いしようかな……
何かできることはないかと、クローゼットの中をきょろきょろ覗いていると、小さめの箱を見つけた。
「───何だろ、これ」
奥にこっそりと置かれている箱……何だか、見られたら困るって感じがする……
……気になる。
かといって、勝手に見るわけにはいかない。
でも、気になる。
ぐるぐる悩んでいるうちに手が箱に伸びて、思わず部屋の真ん中に動かして床に置く。
どうしよう……どうしよう……
まだ啓吾さんはキッチンで掃除をしている。
今だったらこっそりと気づかれずに中を見れるかもしれない……
「よし。開けよう」
だって、気になって仕方ないんだ。今ならばれないと思うし。
箱の中を見ようとふたに手をかけ、えいっと持ち上げたとき…
「───悠希、お茶いれたからひと休みしない?」
ガチャっとドアが開いて、啓吾さんが寝室に入ってきた。
「──────あ」
「──────あ」
───箱を前にして、二人は思わず固まってしまった。
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