67 / 105
贈る 第1話
注意!
本作は数年前に別サイトで投稿していた小説をリライトして再度投稿したものです。
そのため2月14日が土曜日となっています。
違和感があるとは思いますが、そのあたりをご了承の上お読みください。
「はい!これ、高瀬くんの分」
朝、大学構内でばったり出くわした梨花ちゃんに可愛らしい袋を差し出された。
「え?何これ?」
何だかよく分からず聞き返してみると、どうやら『バレンタインの義理チョコ』だそう。
そういえば今日は2月13日……明日はバレンタインデーだ。
「明日は土曜日で会えないから、今日のうちに渡すね。彼氏さんと二人で食べて!」
そう言っていたずらっぽい笑顔を見せる。袋の中を見ると確かに、水色の包装紙に包まれた箱が2つ入っていた。
僕が男の人と付き合っていることを知っている、梨花ちゃんは数少ない友人の中のひとりだ。だからこその気遣い……からかい?なんだろう。でも……
「ありがとう。でも、啓吾さんは甘いもの嫌いだから、僕が全部食べちゃうよ?」
「あ、そうなの?じゃあ高瀬くんはチョコじゃなくて、何あげるの?」
……あげる?
「え?何もあげないよ?」
「え?何もあげないの?」
「……………」
「……………」
「───あげなきゃいけないものなの!?」
僕、男だし。啓吾さん、チョコ嫌いだし。だから今まで『チョコをあげる』という発想がなかった。
去年だって、何にもしてないよ……これってダメだったの!?
「ダメってことはないけど……もらったら彼氏さんも嬉しいんじゃない?」
「…………」
それは……嬉しい、かも。
バレンタインデーに何かプレゼントしたら、啓吾さんどうするかな…?
うーん。まずはびっくりして、目を丸くして……そのあと笑って目がなくなって……お礼をいいながら僕の頭を撫でてくれて……お返しにキスをくれたりとか……!
喜んでくれるところを想像すると……すごくいい。
今よりもっともっと、仲良くなれそう!
「決めた!今年はバレンタイン、やってみる!」
大好きな啓吾さんに大好きな気持ちを伝えて、僕のことを今よりもっと好きになってもらうんだ!
ともだちにシェアしよう!