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第2話
さて、バレンタインにプレゼントをするのはいいけれど、何をあげたらいいのだろう……甘いものはダメだし、何か他のものを買うにしても、もう悩んでいる時間はないし……
「梨花ちゃんは貴志にどんなチョコあげるの?」
「手作りのチョコだよ。昨日作って、あとは渡すだけ」
手作りかー……
でも、甘いもの嫌いな啓吾さんは、手作りとか関係なく食べてくれないだろうなあ……だいたい僕、そんなに料理上手じゃないし……
「……ねぇ、甘いものダメな人には何をあげたらいいと思う?」
「うーん……チョコはだめなんだよね?──じゃあ逆に、どんなものが好きなの?」
好きなもの?そういえば好きな食べ物の話なんてしたことない気がする……どんなものを食べてるときが嬉しそうかなぁ……
啓吾さんの家での様子を一つ一つ思い出してみると……
「………あ、コーヒー」
「コーヒー?」
そうだ、コーヒーだ。
僕は普段飲まないからよくわかんないけど、啓吾さんの家には何種類も豆が置いてあって、そのときの気分にあわせて選んでいるみたい。
インスタントじゃなくてちゃんとドリップして飲んでいるし。好きだからこだわるのだろう。
「じゃあ、コーヒーゼリーとかは?」
「ゼリー?」
「うん。コーヒーゼリーって作ったことあるけど、結構簡単だったから男の子でもできると思うよ。甘さ控えめに作ればいいし!」
冷たいスイーツでも、暖かい部屋の中で食べたら平気だよ、と言ってにっこり笑われると何だかうまくいきそうな気がする。
「──じゃあ、やってみる!」
まだできたわけでもないのに、啓吾さんが喜ぶところが見えるようでわくわくする。頑張ろう!
まずはレシピを調べて…
携帯電話を取り出したところで、梨花ちゃんが言った。
「で、明日は何時だったら空いてるの?今日でもいいけど」
ん?
きょとんとした顔したのだろう。梨花ちゃんは僕と目が合うと、またもやいたずらっぽい笑顔を見せた。
「任せて。最強の先生、紹介するから!」
そう言うと、さっそく電話をかけはじめた。
え…っと…………最、強?
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