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第19話 食後の運動
ブラックカードで慣れた様子で会計を済ませる竜二。
日本人離れした長い足で、
一流ホテルでも気後れせずに優雅に歩く後姿に、
エレベーターの前でやっと追いついた。
「あの ―― 竜二」
「もう帰るだなんて、無粋な事は言うなよ」
えっ、と思わず言うと、
ちょうど扉の開いたエレベーターに乗り込んで
ボタンを押し、竜二は俺に向き直って有無を言わさず、
体を壁へ押し付け唇を重ねてきた。
俺はとっさに顔を背け、
「ちょっ ―― やめ ―― こんなとこじゃ……」
「なら、部屋の中ならいいな?」
「……」
所詮俺だってお年頃の健全な高校生男子なので、
性欲は人並みにある。
ここのところ今回の一件で1人エッチもおざなり
だったから。
そろそろ2丁目へでも繰り出そうと思ってたんだ。
*** *** ***
「あ ―― っ、ん、んぁ……」
ホテルの広い無機質な客室に響いているのは、
2人の吐息とベッドが揺れる音だけ。
「……んぁ、ん、んあっ、ああっあ、イクっ!」
「くっ……!」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
俗に言う ”チンぐり返し” というスタイル(体位)
で綱吉へのしかかるよう挿入してた竜二はまだ
荒い息のまま、
下にいる綱吉から萎えた自身のソレを抜いた。
「んっ」
綱吉は、そんな僅かな刺激にさえ身じろぐ。
竜二は少し汗をかいた体に何も身につけず、
ベッドを後にした。
綱吉は未だ起き上がれずに1人、
荒い息を整えている。
すぐに竜二が、ワインボトルを持って戻って来た。
そして、ベッドに座ると、綱吉を優しく
抱き起こし、ワインを口移しで飲ませてから
バスルームへ向かった。
*** *** ***
採光の良さそうな大きな1枚ガラスの窓辺を背に、
ワインを傾ける綱吉。
窓外は漆黒の闇。
タワーホテルの最上階なので、遥か下のビルや
家屋からの明かりが点々と星粒のように見える。
先刻から聞こえていたシャワーの湯音が止まり ――、
カチャ。
開いたそのドアから、バスローブ姿の竜二が
出て来た。
「明日から3~4日くらい主張に出る」
「行き先は?」
「香港」
それを聞いて、かなりドキっとした。
手嶌や佐竹・陣内クラスの幹部でも、
中華系の東南アジアで仕事をする時は
異常に緊張するという……。
「―― 寂しいか?」
「ばーか。煩いのがいなくなって清々すらぁ」
なんて、強がりを言いつつ、瞳は不安で一杯って感じで
揺れ動く。
「でも……」
「……でも?」
「お、お前がいない間、仕事押し付けられてる部下達は
いい迷惑だろ。早く帰って来いよな」
竜二は竜二で
”ったく! 素直に寂しいから早く帰って来い、とは
言えんのかねぇ……”と、呆れつつ。
「分かった」
ツンデレ綱吉の強がりを受け入れ。
その白い首筋へ自分の熱い唇を這わせ。
「ん……」
背後から抱きしめたまま竜二はソファーへ座る。
対する綱吉は大胆にも自分から姿勢をクルッと転換し、
前抱っこされるような恰好で跨がった。
竜二は”心得た”とばかりにしっかり受け止め、
綱吉のバスローブの前を一気にはだける。
ぷるん! ――
若々しい張りのある綱吉の乳房が露わになった。
竜二は何時になくまじまじとそれを見つめる。
(は、初めて、ではないけど、
やっぱそんなにじっくり見られると
恥ずかしい、かも……)
「あ、あのぉ……鑑賞物や、ないんやけど……?」
「んー、そうか……じゃ、さっそく戴くな」
間髪をいれず、竜二の温かい口腔が綱吉の乳房を
包み込んだ。
そして、片方の手は反対側の乳房を揉みしだき、
もう片方の手は大腿部を撫で回しつつ、
ゆっくり綱吉の秘所へ ――。
「あ、はぁ……ん……」
じわじわと這い上がってくる快感に身悶える綱吉を
上目遣いで見て、竜二はニヤリと笑った。
「はぁ、ぅ ―― コレ、や……」
「んー? 気持ち良くないか?」
「……はぁ はぁ……おかしく……なっちゃ……」
「いいよー、可怪しくなって。ココにいるのは、
俺とツナの2人きりだろー」
―― カラダの芯が燃えるように熱い!
竜二の太くて、でもしなやかな指が自分のソコで
不規則に動く度 ――、
竜二の舌が綱吉の乳*に刺激を与える度に ――、
そこからカラダ全部に耐え難い快感が走り抜ける。
視線を下ろせば自然と目に入る。
竜二のソレも、自らの下っ腹にくっつくほど、
痛々しいまでにそそり勃っている。
「りゅう……りゅう、じ……おねがい……」
「何かな?」
「……早くぅ……」
「ったく……困った姫君だ……」
綱吉が浮かせたソコへ自らの昂ぶりをあてがい、
綱吉が下ろしてきた重みを使って、グイッと自身を
最奥までゆっくり・ゆっくり押し進めてゆく……。
「ん、は、ぁぁーー……こいつぁ、すごい……
とろとろだぞ、ツナ」
「あ、んン……い、い……きもちいーよ、
りゅじ……」
揺さぶられて、絶え間なく恥ずかしい声が漏れる。
繋がった場所が、火の点いたみたいに熱くて、
淫らな刺激が脳髄を舐めるようとろとろに溶かす。
「ほ~う、そんなにイイか? なら、存分に喰らえっ」
焦らすよう、わざとソレを引き抜かれ。
失ったモノにその部分が慌てて追い縋ると、
また、グイッと深く突き立てられ。
満たされた安堵に、細く長い吐息が漏れる。
残される余裕でギリギリの自分を保っていられるから、
己の醜態を意識してでも、その恥ずかしさにすら
煽られる。
こんな自分は知らない……!
嫌なのに、こんな淫らな自分は……。
竜二の下から突き上げる動きが徐々に激しく、
強いものになっていく ――。
「すまん、ツナ……そろそろ、イキそだ……」
答える代わりに、
竜二の首回りへしっかりしがみついた。
辛さも・苦しさも・恐れもなく ――、
ただ、気持ち良くて……気持ち良くて……。
うっかり落ちた生理的な涙を
触れるだけの優しい唇が吸い取った。
今だけかも知れない、刹那の抱擁に、
それでも満ち足りた気持ちで。
「「 あ、あぁぁ ――っっ!!」」
2人はほとんど同時に達した。
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