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第35話 嵐の渦中へ ――

担任・東には 『やっと進路を見据えたかぁ。分かってるとは思うが、 他のライバルからは一歩も二歩も出遅れてるんだからな 死ぬ気で頑張れよ』 と、愛情ある発破をかけられた 綱吉は ”保育士”という資格習得を目指し、 附属大の家政学科を進路に定めた。 その為、ピアノの練習は必須項目で。 今日も日が暮れるまでみっちり練習し、 防音室の電気を消すと薄暗い非常灯の中を歩く。     靴を履きかえ中庭を通り裏門へ向かった。 「そろそろ朋也が来る頃か」 キョロキョロとしてスマホを取り出すと カコカコッと何かを打ち始めた。 朋也に向けての帰るメール。 《自主練終わったよ。もうすぐ帰り ――》 そこまで打った時 ふと背後に人の気配を感じ、振り向くと同時に 鼻と口に何か異臭のする布を押しつけられた。 (うはっ、なにコレ?!) 「ふぐっ……」 綱吉は持っていた鞄とスマホを地面に落とすと、 布を押さえつける男の大きな手を振り払おうと 大暴れ。 「大人しくして貰えませんか? 九条綱吉くん」 ?!……その名前を学校で呼ばれたのは、初めてだ。 「んん……」 (だ……れ?) サングラスをした男の顔がぐにゃりとぼやけてくる。 目がかすみ意識が遠のく ―― (あぁ、だめだ……助けて、竜二……) そこへタイミング良く朋也が駆け付けた! 「てめぇら、何処の組のもんじゃ?! 若を返せぇぇぇっ!!」 (あ、あれ ……っ。  このシチュエーション、前にも1度あった  ような……) しかし多勢に無勢じゃ、 空手有段者の朋也でも歯が立たない。 袋叩きでボコボコされた挙句、 前回同様改造スタンガンで市販の物の数倍の 電気ショックを与えられ、おまけに手刀で後頭部を 強打されてその場に倒れた。 「ともや……っ」 (う”ぅ……な、情けない……俺に、もっと  力が……)       綱吉の手はダラリと垂れ、 ガクンっと膝を折り男の手の中に落ちると 男は同時に目の前に停まった車に 綱吉と鞄を乗せてその場を走り去った。 ***  ***  *** 誰かに背後から抱き止められる恰好で ソファーに座らされ、ペシペシと頬を叩かれて 俺はぼんやり意識を取り戻した。 見慣れない部屋と 見知らぬ男達に囲まれているのを認識し、 背筋に冷たいモノが走る。 さっきからやたらあちこち撫で回してるごっつい手も、 横顔にかかっている酒の匂いの混ざった吐息も 反吐が出るくらい気持ちが悪い。 いつの間にか全裸にされていて、 俺を背後から抱き止めている人物 ――  3代目大河内組組長・大河内五郎は、 俺の顔を強引に自分の方へ向けさせ、 唇を重ねてきた。 とっさに顔を背けようとしたけど、 体に全く力が入らない。 仕方なく、唇を割って入って来た大河内の舌を 思い切り噛んでやったら、 男の1人に平手で殴られた。 「大人しくしてりゃ手荒な事はしない」 唾液で湿らせた程度の指で、 何かの錠剤かタブレット状のクスリを俺の 後ろへぐいっと押し込んできた。 「!! んンっ ―― 何、しやがった……」 「煌竜会の若様は口の聞き方を知らんようだ。 こりゃあ、調教のし甲斐もあるな」 まだ、ナカに入ったままの指を不規則に動かす。 「あ、ん……」 「ほ~う、あの鉄仮面がすっかり骨抜きだという噂は 本当のようだな?お前のココは吸い付いてくるようで、 締め具合も抜群だ。さぞ毎晩あの男に可愛がられて いたんだろう? 今日はこの俺様が相手してやる」 「(ふ)ざけ、んな ――っ。っあ、やぁっ……やめろ」 大河内は空いている手で俺の……も鷲掴みしてきた。 「やだっ! 触るなっ!」 「オラ、1回イッて楽になっとけ」 前と後ろのW同時攻撃。 未だかつて経験した事もないような 大きい快感の波に飲まれ、 俺は呆気無く達してしまった。    

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