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ストライプ柄のダークスーツにエナメル靴、撫でつけられた黒髪、鋭い眼差しに冷えた眼光で、タバコも酒も嗜まずに一番ハードなミンティアをぼりぼり中。 「鬼津子組系組長、小縣辰巳ィィィッッ!!」 そう、彼はここ最近めきめき勢力を拡大しつつある新勢力、戦後から闇社会の絶対統治を保持している旧勢力「田奴鬼(たぬき)組」を脅かしつつある「鬼津子(きつね)組」傘下の組の頭、小縣辰巳(おがたたつみ)その人であった。 さて、そんな彼の自己紹介をしてくれたのは物騒にもドスを手にした若者、敵対している「田奴鬼組」組員、辰巳の(タマ)をとりにきた鉄砲玉だった。 「こっこっ殺す!!」 「そんな派手なパフォーマンスしないで不意打ち狙った方が賢明だけど」 違法おくすりきめきめ状態で掴んだドスがぶるぶる中の鉄砲玉の後頭部に、ごつっと、冷ややかな銃口を押しつけた者がいた。 どう見ても堅気リーマンにしか見えない、ぱっと見はちょっと地味め、しかしじっくり観察してみれば綺麗な顔立ちであることが判明する、眼鏡をかけた男。 ぱぁん!! 「う、腕がぁぁ!!」 ヒットマンを撃ったのは辰巳の配下、狂犬ならぬ凶猫と恐れられている若頭の美沙都(みさと)だった。 一切動じることのなかった辰巳、銃口をフーフー冷ましている美沙都を褒めるでも怒るでもなく、紅唯千とは反対側のスツールに座るもう一人の若頭へ声をかける。 「田奴鬼んとこのモンだろーが、直属の頭、割らせろ、割らなかったら生コンな、亜難(あなん)」 「……わかった」 映画みたいな寸劇はあっという間に終了。 気づいた者は悲鳴を上げて逃げ出し、気づかなかった者は相変わらずフロアで踊り続け、若頭二人は泣き喚く重傷鉄砲玉をクラブからずるずる引き摺り出していく。 脳天気に舟をこいでいる紅唯千をお姫様抱っこした組長辰巳は腰を抜かしていたゲス学生に告げた。 「こいつもらってくな」

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