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4-温泉行きました!
帰りのホームルームが終わり、友達とわいわいおしゃべりしながら下校していた高校生の紅唯千はびっっっくりした。
「よぉ、コイ」
校門を抜ければ一回り以上年上の恋人、小縣辰巳に出迎えられた。
ここ最近めきめき勢力を拡大しつつある新勢力、戦後から闇社会の絶対統治を保持している旧勢力「田奴鬼組」を脅かしつつある、次期トップとも呼び声の高い「鬼津子組」傘下の組の頭でもある。
「ちゃんと数学だの世界史だの勉強してきたか」
た、た、辰巳さんだああああ。
シマ争いだのシノギ事情だの様々な問題に追われて多忙な組長彼氏、おかげでデートもままならない日々、そこに不意討ちのサプライズ訪問、その結果。
「辰巳さあんっっっ」
大喜びした紅唯千は辰巳に抱きついた。
スッピンで女装っけゼロ、制服を着用してどこからどう見ても男子高校生のナリであるのを気にするのも忘れて。
「よしよし」
「わ……っわん!わんわん!」
「向こうに車停めてある。行くぞ」
「クーーンっ」
大喜びする余りワンコ化した紅唯千の肩に頑丈な腕を回し、ポッカーンしている友達に「コイ、連れていくな」と律儀に告げ、辰巳はその場を後にした……。
よーく考えてみれば。
「オーナー、どうしていつもの車にしなかったんですか」
俺、みんなの前で辰巳さんに抱きついちゃった。
月曜日何て言おう、つーかメール来てるっぽいし、うん、今はスルーしとこ。
「いつものは目立つだろうが、美沙都。今はオフなんだよ。たまには肩の力抜かせろ」
俺、今、制服だし。
ふっつーに野郎だし。
「……ワーゲンに大の男が三人、未成年が一人、多少人目を引くと思うが」
「確かにぎゅうぎゅう詰めではあるな、亜難」
辰巳さん、ヒいてねーかな?
「ルパンみたいでいいだろ」
「僕が峰不二子ですね、わかります」
「助手席の亜難が五ェ門で俺は次元ってところか、で、差し詰めルパンはコイか」
「へっっっ? な、なにっ、アニメの話っっっ?」
つーかいつの間に高速。
かんっぜん、普段の帰り道から逸れてます、うん。
「辰巳さん、えっと、どこ行くの?」
「風呂」
「ふ、風呂?」
「温泉。お前と泊まりで」
なにそれ聞いてねー。
いきなり過ぎるよ。
いくらなんでも困るよ、俺……!
「どっかで下ろして女装させて下さいッッ!」
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