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第15話

「瑛翔くん、この近くにでっかい水族館できたの知ってる?」 桐崎さんが聞いてきた。 「あー、知ってる」 県内一大きいと最近話題になっている水族館だ。 「あそこに行こうって。もらったペアチケットがあるんだけどこれが4人一組でね」 なるほど。だから"ありがとう"ね。 4人一組じゃないといけなくて、要は人数合わせか。 「いい?もしかして水族館嫌いだったりする?」 俺が祥馬から何も聞いてなかったと知り、桐崎さんは不安そうに俺を見つめた。 「大丈夫だよ、行こう」 笑って答えたら、桐崎さんは照れたように笑った。 「良かった」 そして祥馬の腕をパシッと軽く叩いた。 「もう!何で忘れちゃってるの!あんなに言っといたのにっ」 「ごめんごめん。まぁいいじゃん、行くって瑛翔も言ってることだし」 悪びれた様子もなく言う祥馬をジト目で見てからふっと、椎河さんに視線を向けてから俺に向けた。 「妃捺がね、水族館好きなんだ。せっかくチケットもらったから一緒に行きたくて。でも私と妃捺って中学が一緒で今クラスが違うから共通の友達があんまりいなくて…人数合わせみたいになっちゃってごめんね」 申し訳なさそうに謝る桐崎さん。 本当に、この子はいい子だなと思う。 それが、苦しい。 いい子過ぎて、俺のこの感情が、汚いものに思えて仕方ない。

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