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第16話

水族館に着くと、話題になっているだけあって混雑していた。 チケット売り場にも多く人が並んでいる。 「わぁ、すごい人だね。チケットあるから私たちはもう入場できるよ」 俺たちはチケット売り場の横を通り、入場ゲートの方へ向かった。 中に入るとすぐの場所にシャチの水槽があった。 椎河さんは目を輝かせながらその水槽へ近づいて行った。 「あ、待ってよ妃捺」 その後を桐崎さんが追いかける。 「なぁ瑛翔」 「何?」 「言わなかったこと怒ってない?」 「怒ってないよ」 俺の隣に立った祥馬が心配そうに声をかけてきた。 さっきはそんな悪びれた様子じゃなかったのに。 実は気にしてたの? 「良かった。…っていうか正直水族館って何が楽しいのかサッパリ分からねー」 人が集まってる水槽を見ながら祥馬は呟いた。 「そう?俺は好きだけど、水族館」 「うへぇ、まじか」 「それ桐崎さんに言ってないよね?」 「言える訳ないだろ」 「2人とも〜何してるのー?こっちおいでよー」 桐崎さんが振り返って俺たちを呼んだ。 祥馬と一緒に水槽に近づいて行ったら、結構大きなシャチがいた。 「シャチってね、天敵がいないんだって。サメとかクジラを食べるんだって。こんなにかわいいのに怖いね」 先ほどまでとは違って、少しはしゃいでいる椎河さん。 楽しそうに説明のパネルを読んで、俺に話しかけて来た。 「へぇ、サメまで食べるんだ…」 「あ、ごめんね、一人ではしゃいじゃって…」 恥ずかしそうに俯いた椎河さんに思わず笑ってしまった。 「あ、笑った?」 「ごめんね、なんか可愛くて」 「っ!!」

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